■ストーリー
「今日からホームヘルパーの人が来るから、よろしくねー」
「……ああ、うん……」
ホームヘルパー、いわゆるお手伝いさんなんて、うちには必要ない。
僕としては、まったく歓迎できない。
この家に母さん以外の女が来て、家事をするなんて……
この家の中に、他人が入り込んでくるなんて。
重たい気分でいると、インターホンが鳴った。
そして、おそるおそるドアを開けると、そこには――
「初めまして、真野様のお坊ちゃま。わたくし、
ホームヘルパー派遣協会から派遣されてまいりました、鈴原美古都と申します」
玄関の向こうに立っていたのは、思っていたよりも
ずいぶん若くて、思いもしなかったほど綺麗な女性だった。
僕はもともと、同級生の地味な女の子ともまともに話せないような気弱な性格だ。
ホームへルパー鈴原美古都さんの外見だけですでに
圧倒されてしまって、自分の家なのにおどおどすることしかできない。
それでも、ずっとここで突っ立っているわけには
いかないから、とにかく家の中へ招き入れることにした。